スペシャルインタビュー vol.03 村田早耶香さん

このコーナーでは、レジェンド財団の理事である松山真之助が、素敵な方たちにインタビューします。

皆さん、こんにちは。今日はインタビュー第3弾。
NPO法人「かものはしプロジェクト」の共同代表である村田早耶香さんを訪ねました。
東南アジアにおける売られる子どもをなくす活動している村田さんは、とても落ち着いた素敵な方ですが、その熱い思いに心を打たれました。

いくつもの壁にぶつかりながら「この理不尽は、放っておけない!」

~NPOを作ろうと思ったきっかけ~

松山 :
村田さん、本日はお忙しい中、ありがとうございます。さっそくですが、今の活動を始められたきっかけは何だったのですか?
村田 :
はい、最初のきっかけになったのは、大学のときに受けた国際問題の授業でした。大学2年、19歳の時です。
無理やり売られる子どもの話を、授業でききました。14歳くらいで売られて、エイズでなくなった女の子の話を聞いたのです。ミーチャという実在の女の子で、亡くなる前に『私は、学校で勉強っていうものをしてみたかった』と言って亡くなったそうです。
家が貧しく、家族を養うために働きに行ったら、実はそこが売春宿。売られた金額はわずかに1万円。しかも、稼ぎはほとんどが搾取され、だまされ上に、最後はエイズによって命を奪われてしまったのです。
私たち日本の大学生が、のんきに学校をさぼることを考えているときに、一方では、学校に行って勉強してみたかったと言いながらエイズでなくなる子がいる。こんな理不尽があっていいのか!・・・と強く思ったのがきっかけです。
松山 :
ひどい現実ですね。それで、その後どうされたのですか?
村田 :
はい、その後、なんとかこういう人たちを助けたいと思い、本を読むところから始めました。本に出てくるNGOなどの講演会を聞きにいき、いろんな人とネットワークを広げようとしました。たくさんの人に思いを伝えようとして、大学での授業ジャックもやりました。
松山 :
えっ?授業ジャック?!
村田 :
はい、実は、子どもが売られるという不条理をなんとかしたいという思いだけがすごく走ってしまい、授業のとき「5分だけ時間をいただけますか?」と教授にお願いして、この問題のことをお話しました。ところが、いつの間にかこのテーマが白熱してしまい、授業がすっかり売られる子どもの話になってしまったのです。
松山 :
わぁー、それは、ほんとに授業ジャックですね。笑
村田 :
そんな折、「第二回児童の商業的性的搾取に関する世界会議」という国際的なイベントが横浜で開かれることを知りました。この世界会議には学生も参加する資格があり、作文を書いて選ばれたら参加できるというものでした。この会議の前に、私は現地にいって現場をみていたこともあり、日本の若者代表として選ばれました。
この会議が始まる前に、仲間の人と子どもが売られる問題に関する宣言文の草案をまとめました。たとえば、日本でもっと性教育を充実させようとか、ODA予算を、子どもが売られる問題を解決するためにもっと使ってほしいとか様々な要望を入れました。これらは、日本の法務大臣、ユニセフの代表などにも伝えることができました。そして、最終的には国連の正式な文章になりました。
松山 :
それは、すごい舞台でしたね。

~現実のカベにぶち当たりながら~

松山 :
その国際会議は、村田さんにとって、まさにドンピシャのタイミングでしたね!
村田 :
はい、とてもよい機会でした。ところが、そのあとに大きな壁があったのです。あの国際的な会議でこれだけ頑張ったのだから、これで助かる子どもが出てくると思ったのですが、結局、現実には何も変わらなかったのです。
国際会議に係わったNPOも、現実には様々な問題に取り組んでおり、売られる子どもの問題だけにフォーカスする団体は少なく、会議が終わってからもこの問題に焦点を絞って活動を続ける団体は非常に少なかったです。。私が半年ほどボランティアとして参加したNPOも、当時は余裕がなく売られる子どもの問題について取り組むことは難しかったです。
こうしているうちに、あの子たちが売られていく。誰かがやり続けないと救えない、歩みを止めたくない・・・それがその時、私の中にあった強い気持ちでした。
松山 :
そんなときに出会いがあったのですね!
村田 :
はい、東大で「学生と国際協力について」という講演会があり、その主宰者の一人だった青木と出会い、本木とも青木を通じて出会いました。どちらかというと、ビジネス寄りで、左脳的で、私が持っていない能力をもったこの二人に出会ったことが、大きな転機になりました。「世の中をよくしたい」という思いは一緒ですが、互いが持っていないものを持っていたのがよかったですね。
「売られる子どもをなくしたい」という私の思いは強かったのですが、不安がありました。
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リスクをとれるか、経験をもっと積んだほうがいいんじゃないか、人脈を広げてからのほうがいいのではないか、お金をもっと貯めてからのほうが・・・など迷いもあったのですが、「足りない部分は周りの人に補ってもらえばいいじゃない」といわれて決心しました。それで、20歳のときにかものはしプロジェクトを作りました。

~親の反対にもめげないで・・・~

松山 :
ところで、学生のときにNPOを作られましたが、親御さんは村田さんの思いや活動に対してどんな反応でした?
村田 :
はい、実は大反対。親戚中が反対でした。おじいちゃん、おばあちゃんも含め、親戚一同、全員が反対でした。
松山 :
娘をもつ親としては、私も、お父さんのそのお気持ちわかります。
村田 :
父はもともと、ボランティアがすきで、近くの孤児院でボランティアをしたり、国境なき医師団を寄付者として応援するような人でした。またアジアからの私費留学生の保証人などもしていたので、私がしようとしていることにもきっと理解を示してくれると思っていたのです。
松山 :
でも、そうじゃなかった・・・親とはそういうものですよね。いざ、子どもがNPOを作って活動を始めるなどと言いだしたら、心配になりますもの。で、どうされたんですか?
村田 :
大学4年になる前に、みんな就職活動するのに、私はぜんぜんしていなくてそんなことやるなら 家を出て行け!って言われ、とても不安でした。
松山 :
そうでしたか・・・。
村田 :
親に反対されたのですが、自分でももう一度考えてみようと、1か月くらいカンボジアにいってきました。カンボジアの保護施設で、6歳の女の子に会いました。その子は、貧困のせいで親に売られ、電気ショックをあたえられながら働かせられていたそうです。保護されたばかりのときは感情すら表にだせない抑圧された状況だったとか。
そのとき、「それを許容している社会があるのはおかしい。今日も売られている子どもがいるんだ・・・不安はあるけどやってみるか」と決心しました。
帰国後、親に説明する機会をうかがっていました。
で、親が機嫌よさそうなときを狙って、PCで1時間くらいプレゼンしました。親に対してこんなに真剣に自分の夢を語ったのは生まれて初めてのことでした。
その時、父親が、「自分の子どもが傷ついてほしくない」と思うから反対していることがわりました。私は、いかに考えているか、いかに本気でやっているかを一生懸命説明し、ついに親にも理解してもらいました。
松山 :
よかったですね~!

~現在の活動内容は?~

松山 :
では、現在の活動内容について教えてくださいますか。
村田 :
大きな二つの柱があります。子どもを売らせないことと、買う人を減らすことです。
まず、「売らせない」とはどういうことかといいますと、貧困からくる人身売買をなくすことです。貧しい農村では、困窮すると最初に土地を売ってしまいます。さらに、出稼ぎにいった父親が蒸発したりすると、家庭はさらに困窮し、ついには子どもを売ってしまうことになるのです。
そこで、そういう困窮した家庭のお母さんやお姉さんにコミュニティファクトリーという働く場所を提供しています。公務員なら月収3000円、大卒なら月収1万円が平均ですが、そこで働くと月5000円ほどの稼ぎになります。家族4人が1か月暮らせるくらいにはなります。ただ支援するのではなく、働く機会を提供して、最貧困を抜けだせるのです。現在、最貧困家庭から100人くらいが働いています。作ったものは、43か所のみやげ店と直営店(観光客向け)で販売しています。
また孤児院の支援も進めています。ストリートチルドレンや売られてしまい戻ってきた子ども達が保護され、孤児院で生活をし、学校に通えるようサポートしています。
次に、「買う人を減らす」ために、警察の能力強化の支援をしています。日本では考えられないですが、国家予算が充分にないため、新しい法律ができても、警察官がその法律の内容について知らないという状況になってしまっています。袖の下をもらって逆に悪いことをすることさえ・・・。
人身売買を取り締まる新しい法律が2008年できたのですが、それもほとんどの警察官は知らない。そもそも警察の研修や訓練が、資金がなくて出来なかったんですね。
そこで、その法律を理解してもらうための研修や、加害者データベースの運用、ホットラインの運用などに資金援助をしています。この研修は効果があり、検挙数があがってきたようです。ここ9年で検挙数は82件→720件となっています。

~これからの展開~

松山 :
今後の展開はどんなイメージですか?
村田 :
カンボジアからほかの国へも活動を広げたいと思います。世界には、数百万人の人身売買の被害者がいるといわれています。
そこでまず、カンボジアの実態調査を進めています。
2003年に1万5千人(18歳未満)といわれていましたが、隠されて売られている子たちはまだ多いと思います。

~ワールド・シフトでいうと?~

松山 :
売られる子どもの被害は、単なる貧困より人が人を貶めてしまうところが悲惨ですね。
村田 :
はい、カンボジアは処女性が重んじられる国で、被害者でありながら、親戚など身内からも疎んじられるような状況もあり、ほんとに理不尽の極みなのです。
松山 :
村田さんの活動を、ワールドシフト的に表現すると、どんな感じですか?
村田 :
そうですね。

「子どもが理不尽に
 傷つけられている世界」から、
「すべての子どもが
 未来に希望を持って生きられる世界へ」、
という感じですね。
そのために、
買わせない+売らせない
ということが必要であり、
3つの事業を進めているところです。
松山 :
村田さん、今日はお忙しいところありがとうございました。私たちレジェンド財団も応援しますね。がんばってください。
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